生前に開くお別れ会

生前葬は一種の告別式

「生前葬」というのは、まだ生きているうちに自分の葬儀をして、世話になった人たちにお礼を言い、お別れをするもの。生前に行うお別れ会です。
葬儀・告別式のうち「葬儀」は、故人の魂をあの世に送る宗教儀式、「告別式」は、知人・友人が故人に別れを告げる儀式です。

生前葬というのは、いわば告別式の一種といえます。
普通は葬儀→告別式という順序で行いますが、生前葬は、告別式だけ先にしてしまうものです。
ですから実際に亡くなったときには、葬儀だけが行われます。
友人・知人とのお別れはすんでいるので、葬儀は身内だけの「家族葬」や「直葬」を考えている人がほとんどです。

一般に生前葬には、古希(70歳)、喜寿(77歳)などの長寿を祝う要素も合まれています。
たとえば、Mさんの生前葬は、第1部が葬送で、第2部は復活祭でした。
どちらかといえば、「生の自覚」が強く感じられる生前葬で、長寿儀礼的要素が大きいものでした。

一方、Kさん(剖歳)の場合は、がんを宣告されたあとの生前葬で、明るいなかにも「死の自覚」がありました。
「お別れ」を中心においたものといえるでしょう。
生前葬には、この2つの傾向がみられるようです。

行い方に工夫を

生前葬というのは、実際行うとなると、むずかしい一面があります。
葬儀のパロディーになってもいけない、湿っぽくてもいけない、あくまで明るく、なごやかに行いたいものです。
招かれた人がとまどったり、困ったり、よい気持ちがしない会では、行う価値がなくなってしまいます。

場所はホテルかレストランで、会食をしながらというのが一般的です。
祭壇を設け、遺影を飾って本当のお別れ会のようにするケースもありますが、一般のパーティーのような形で行う人も多いようです。

長寿のお祝いを兼ねて

行うタイミングとしては、古希、喜寿、米寿(88歳)、金婚式などに合わせるのが無難です。
「生前葬をします」と招待されても、ほとんどの人がとまどうことでしょう。
しかし、お祝いの会ならば、気兼ねなく出席できます。「感謝の会」などとするのも一案です。

本人のあいさつのなかでひと一言思いを述べれば、気持ちは招待者に伝わります。
また、最後に一人ひとりと掘手して、ていねいにお別れすれば、りっぱな生前葬になります。
「死後の葬儀は家族のみで」という思いがあるなら、そのことも伝えておくといいでしょう。
その会が「生前葬であった」ことは、会の最後に打ち明けるのでもいいかもしれません。

生前葬に招かれたら

招待状に「平服で」と書かれていたら、男性はダークスーツ、女竹は地味な色のスーツやワンピースにします。
生前葬は会費制のケースが多いようですが、会費制でない場合は「お花料」(目安は1万~2万円)を持参します。

自分の死を考える人の増加に伴い、生前葬も増える

前述のKさんは最初、ひとり暮らしなので、そろそろ葬儀の生前予約をしようと、葬祭業者に見積もりを依頼しました。
しかし、親しい友人とは死んでからでは会うことができないし、年をとると体が不自由になるなど葬儀に来てもらいにくくなることから、生前葬を行うことを決心したそうです。
Kさんの生前葬を企画した葬祭業担当者は、「今後、自分の死に向けての準備をする人が増えるにつれ、生前葬も増えていくでしょう」と予想しています。